猫ニャー解散

猫ニャー 十周年記念解散公演 『たびだち』
9月17日~21日@中野ウエストエンドスタジオ


 猫ニャー解散公演を見てきた。
 思えばずいぶん久しぶりに見た。小村裕次郎さんが出なくなった
と聞いて行かず、動員が2千を超えたと聞いてチケット取るの大変
そうだなと思って行かず、再演は前に見たからいいやと思って行か
ず……そんなふうにちょっとずつ離れていった。びみょうに名前が
変わって“演劇弁当猫ニャー”になってからの本公演はけっきょく
一度も足を運ばなかった。しかし、「ああ、いつのまにか解散して
たんだ」と見逃すことはできなかった。面白いって分かってるから。

 手作り記念パンフレット(写真参照)500円。メンバーの作文とか、
手形(縮小コピーなので原寸大ではない)とか、小学校の文集みた
いだ。でもイイ紙で印刷したグラビアもある。モデルは1954年生ま
れの小澤敏彦&主宰ブルースカイ。ブルースカイはともかく、この
オヤジはなんだ。99年公演からいきなり出てきて素性が気になって
いたが、当時の劇団員がバイト先から引っ張って来たということを
知った。くそぅ今さら、というかずっと前に知ってたところでなん
の得にもなりゃしない。あと、なんか前後のページで文脈がおかし
いな?と思ったら、全頁袋とじだった。100ページもあるんだから、
はじめから切りなさいよ!

 最後の最後まではぐらかされた感じは、本編も同じだった。のび
太みたいないじめられっ子が主人公。のび太は遊園地を経営する母
と暮らしているが、立ち退きを命じられている。そんなある日、ナ
ビスコ星から地球へやってきた姉弟がのび太になつく。のび太は遊
園地再生(まさか宮沢章夫のユニット名を意識したんじゃないよね)
をかけて、二人をマスコットキャラクターにして売り出す。計画は
うまくいくが、家庭崩壊とのび太自身の不幸にはブレーキがかから
ないのだった……。

 胸の悪くなるようなメロドラマなんだけど、進行役があらすじを
ざっと話したり、ダンスがあったり、ミスチルをバックダンサー付
きでフルコーラス歌い上げたりして、あれよあれよと2時間強が過
ぎていく。実年齢は意外と若いのにおばちゃん役やったら追随をゆ
るさない池谷のぶえはあいかわらず文句なしに見事なおばちゃんだ
ったし、名前と顔は一致しないけど後期の猫ニャーを支えたキャス
ト陣はうまいなぁと思った。地味なのに観てて飽きない劇団だ。

 でも、もったいない、ぜひ続けてほしいとは思わない。一番しっ
くり来る言い方をすれば、「あー、また今回も見逃した」と思わな
いで済むことに安心している。べつに観なきゃ観ないで済んできた
くせに、「ラストは観たぞ」というよく分からない満足感にふと気
づく。なぜか。ブルースカイの才能は徐々に認められていることだ
し、そのうちプロデュース公演か何かでお目にかかれるだろう。池
谷のぶえはテレビにも出ているし、舞台だって客演で引く手あまた
だろう。むしろ大きな影響力を持ちそうな人が、維持するのが難し
い劇団という枠組みを離れることはメリットになるのではと思うのだ。

 それからひじょうに個人的なこと。猫ニャーは、私自身が芝居を
始めた頃に知った劇団の一つで、小劇場通いをしていた時代の象徴
でもある。右も左も分からずに制作スタッフをして、小劇場という
環境にある理不尽ないろんな問題に悩み、自己嫌悪に陥った苦い青
春とともに思い出される劇団なのだ。猫ニャー解散には、勝手なが
らそういう過去に区切りをつけられるような感慨を覚える。

 自分が小劇場で芝居を見るようになった頃に知り合った、制作ス
タッフの知り合いは年々、一人また一人と芝居から離れている。自
分もロリータ男爵の制作は辞めたけれども、完全に客席から見守る
形で演劇の周辺にいることに変わりはない。猫ニャーという同世代
の劇団がなくなることで、小劇場には自分より目上の気骨のある人
々か、血気盛んな年若い人々しかいなくなったイメージを抱いてい
る。もちろんまだ他に同世代の劇団があるにしても、名前知ってて、
観たことがあって、面白い!と手放しに絶賛できる劇団が他に思い
つかない。小劇場なんてせまいのにね、毎日東京じゅうで公演があ
るのにね。

 悲壮感ゼロの公演だったのに、勝手にメランコリックになった。


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【とよちゅん・猫ニャー関連 観劇リスト】

1998年
猫100℃『山脈』@中野ザ・ポケット

ナイロン100℃×猫ニャー合同企画。池谷のぶえさんの山姥役と、
小村裕次郎さんのナイスガイな探偵(?)役にしびれた。二人は血
を分けた姉弟だった!っていう腑に落ちない展開に、ナンセンスっ
てこういうものなんだ~、とやけに納得した。

1998年 第9回公演
『MY LITTLE MOLERS~もぐらたたきの大きさ』
@中野ウエストエンドスタジオ

新谷真弓さんが出演していた。ヤギも出てた。この時、ちょびっと
お手伝いしまして、小道具のブランデーグラスをお貸ししたり、客
出しする時に入り口でヤギを取り押さえたりした思い出があります。

1999年 第11回公演『弁償するとき目が光る』
@池袋芸術劇場小ホール

弁償するとき目が光る特異体質の女性が主人公の物語。タイトルど
おり直球ストレートな話かっていうと全然そんなことはなくて、目
が光るシーン以外は思い出せないような細かいネタの集積だった。
思い出せないくらいしょーもないとかつまんないとかじゃなくって、
ほんとうに思い出せないタイプの細かい笑いなんだな。おもしろか
った!っていうことしか思い出せない。そんな公演。

1999年 第10回公演
『FOREVER BELIEVE』@下北沢駅前劇場


2000年 第13回公演
『夜の墓場で運動』
@新宿THEATER/TOPS


2001年
TEAM共同責任『最後の晩餐』
@青山円形劇場

拙者ムニエルの村上大樹と猫ニャーのブルースカイが共同で脚本・
演出した企画。ナイロン、猫のホテル、双数姉妹、ロリータ男爵
のメンバーが出演した、小劇場祭り。

2004年
空飛ぶ雲の上団五郎一座『キネマ作戦』
@新宿シアターアプル

いとうせいこう氏がメインで脚本を、ケラ氏が演出を手がけた公演。
キャストはくりぃむしちゅー、三宅弘城、住田隆、猫ニャーの看板
女優・池谷のぶえほか。脚本陣に筒井康隆、井上ひさし、別役実ら
錚々たる顔ぶれが並ぶ中、ブルースカイが若手作家として参加。長
い学ランに赤シャツの今どきそれは…っていうタイプの不良が濡れ
衣を着せられるコントが彼の書いたものだったらしい。

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↓会場で購入した、記念パンフ&メモ帳。


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by toyorubichun | 2004-09-20 16:43 | 舞台