MUSICAL『ザ・ヒットパレード~ショウと私を愛した夫~』

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2007年初演のミュージカル。わたしは今回お初でした。
銀座の夜空をあおげば、ひと足早い葉桜が。

『シャボン玉ホリデー』『ザ・ヒットパレード』『8時だョ! 全員集合』など昭和のテレビ番組を開拓してきた渡辺プロダクション。創立者ご夫婦の馴れ初めから現在までを、ヒット曲にのせて一挙にたどる作品です。

開場してからずっと、おなじみの懐メロが流れていました。開演直前は席に迷っているお客さんへ「大丈夫、僕たちがついています」と優しくアナウンスされたりして、幕が上がる前から客席は和んでいました。いざスタートしてからはもう、リズムに乗って左右にゆさゆさ揺れておりました。往年の歌謡曲がジャズ風味の粋なアレンジになっていて、ほんとうなら腰ごと動きたい衝動に駆られましたが、さすがにまわりに迷惑なのでヨコ揺れ。それも迷惑だけど。じっとしていられなくなる音楽って、いいなあ。

いろんな曲が寄せては返す波のように、ハモったりシフトしたりする構成がカッコいいです。メドレーというより、リミックスと呼びたいつくり。それはターンテーブルやサンプラーで既存の音をこちょこちょ混ぜてできあがり(そんな安易なモノじゃないだろうけどイメージ的に)、というわけにはいかない。楽器も歌も、そしてダンスも一発勝負のライブリミックス。すごい。てなことに気が付いて感心しているのは感想を書こうと思ってからで、見ている最中はまるで走馬灯だ~☆ とひたすら喜んでいたのでした。


第1幕のファッションがぜんぶ可愛い~♪♪ターンするとぶわっと広がるスカート、ポップな色使いのニット、女性らしいラインを引き立てる長いタイトスカート、……と、おもに女性の服に釘付けでしたが、RAG FAIRの着せ替え人形みたいに変わる衣裳も目が離せない。コーラス、アカペラを担当しながら、ちょいちょい登場する実在の人物やエキストラ役をめまぐるしく演じていました。幕間の休憩中、「さっきRAG FAIRが着てた服は、×××っていうメンバーが実際着てたデザインと一緒だった。懐かしいなあ」と目を細めるオジサマのおしゃべりに聞き耳を立てました。タイガースかな? ぼんぼりズボンに白タイツの王子様とか、パーティーグッズ売り場の商品をいいめの生地で仕立てたような、びっくりなコスチュームでした。

RAG FAIRは一人一人の名前と顔を知らなかったのですが、どのシーンでも最高のスマイルを見せていた、肩幅が広いほうのメガネは、たぶんリーダーの引地洋輔さんだと思います。歌えて演技もソツなくできるようなミュージカル俳優だったら、あんな新鮮なオーラは発光しない気がします。芝居にスレてなくて歌は一級品てところが、この舞台で重要なポジションを占めた勝因だったのでは。

クレージーキャッツ、キャンディーズ、沢田研二、ドリフの後輩が、フォーリンラブ、クールポコ、ザブングル、我が家、超新塾なんだなあ。通称ナベプロといえば、お笑い芸人さんの事務所だとばかり思っていました。懐メロ特集で耳にするミュージシャンのほとんどが、ナベプロだったんだ! チラシ束に「WE NEWSPAPER」という会報が折り込んであって、現所属の俳優・ミュージシャン・芸人・アイドルの活動予定が載っていました。パンフレットにある、ナベプロの歩みと社会の出来事をまとめた年譜(昭和30年代・1956年~平成21年)を見ると、昭和52年生まれの自分はザ・タイガースとかキャディーズにぎりぎり間に合ってる世代だったんだなあ、ピンクレディー(すみません、これは他社)の振付まねして踊ってたもんな、と歴史を感じます。

その昔、自分が10代の頃。昭和40年代、50年代の歌謡曲がとても古い音楽のように感じていたのはなぜだろう。自分が流行の音楽を意識して聴き始めた頃は、アイドルであれバンドであれ、ピコピコした機械音のまざった曲の多い1980年代。生音のオケはNHKのど自慢か紅白歌合戦のイメージが強くて、なんか時代遅れな印象があったのかもしれない。あと、やたら明るくて笑顔でうますぎるのが嘘っぽくて恥ずかしかった。前向きで健康的な歌謡曲を受け入れられなかったのは、なぜだろう。素直にいい歌だなあと思えるようになったのは、自分が年をとったせいなんだろうか。今じゃ生音にまさるモノなしと思っているのだから、人間の感覚って変わるものだなあ。

音楽は、指揮&ピアノのアキラさんはじめ、ベース、ドラム、ギター、トランペット、トロンボーン、サックス、パーカッションの10人編成バンドの生演奏でした。終演後も2曲、生演奏を聴かせてくれました。さっさと席を立つなんてできませんでした。贅沢!

劇中に歌われたザ・ピーナッツの「ふりむかないで」「恋のバカンス」を作曲した宮川泰さんは、アキラさんのお父さんだったんですね。小学生の頃、金管バンドで合奏した「宇宙戦艦ヤマト」の作曲家とだけしか知りませんでした。父子2代で素晴らしい音楽を作っているんだなあ。単に時代を反映したヒット曲というだけでなく、後世の人間にとっても心躍る音楽を生み出してきた、というところが渡辺プロダクションの歴史と共通していて、胸にじーんときます。


MUSICAL『ザ・ヒットパレード~ショウと私を愛した夫~』
ル・テアトル銀座 2009/3/5木~25水
シアターBRAVA! 2009/4/1水~5日
脚本:鈴木聡、演出:山田和也、音楽:宮川彬良
出演◆原田泰造、戸田恵子、瀬戸カトリーヌ、池田有希子、北村岳子、杉崎真宏、三上真史(D-BOYS)、升毅、RAG FAIR
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by toyorubichun | 2009-03-30 22:10 | 舞台